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総合学術博物館企画展

2010年04月13日(火)
総合学術博物館企画展
「漆の再発見―日本の近代化学の芽生え―」開催
江口 太郎(新制化18回)

永契会会員の皆様におかれましては既にご来館いただいた方もいらっしゃると存じますが、2007年8月に待兼山修学館(旧医療短大本館)に総合学術博物館の新展示場がオープンし、おかげさまで昨年末までの入館者は42,265名に達しております。現在は、その修学館3階の多目的ルームで、第10回企画展「漆の再発見」を3月20日(土)まで理学研究科との共催で開催しています。是非とも足を運んで頂きたく存じます。この展覧会においては、永契会会員の名誉教授、現役の教員および大学院の在校生諸君の多大なる協力を得ました。大学博物館の役割をご理解いただく好例となっていますので、以下簡単に紹介させて頂きます。


この展覧会の準備が始まったのは、2008年の秋からになります。化学専攻と博物館にワーキング(WG)をつくって頂き、座長には構造有機化学研究室の久保教授をお願いしました。大学執行部のご理解も得て予算も確保でき、基本方針として、化学教室の歴史の総花的展示ではなく文理融合した「ウルシオールの研究」を核に据えることとしました。最初に取りかからねばならないことは、それまでほとんど放置されてきた眞島利行先生および研究室の遺物の整理・博物館データベースへの入力作業でした。これらの面倒な作業を手伝ってくれたのは、大学院のサイエンスコア・カリキュラム受講生12名でした。整理が終了し、展示品候補などが出そろったのは2009年5月になります。そこで、展覧会の骨子(1.導入部、2.中心部・化学的解説、3.伝統工芸との関連)、および螺鈿細工の人間国宝である北村昭齋氏に協力を依頼することなどが決定されました。9月18日午後には、8時間にわたってWGコアメンバーと大学院生などがつくった展示プランやパネルの原案のパワーポイントを用いた発表会を開催し、プランを具体化していきました。減圧蒸留装置、常圧接触還元装置の復元やミュージアムレクチャーの講師の人選なども決定されました。
その後は展示業者も交えて、ポスター・チラシデザインの決定、展示の平面配置プランの策定、パネルとキャプションの数回に及ぶ校正作業、現在の化学教室紹介映像の製作、直前の展示品の列品作業などをへて、本年1月16日の開催にこぎ着けました。



以上のようなことからも、「ミュージアムとは、大学において収集・生成された有形の学術標本を整理、保存し、公開・展示し、その情報を提供するとともに、これらの学術標本を対象に組織的に独自の研究・教育を行い、学術研究と高等教育に資することを目的とした施設である。加えて、『社会に開かれた大学』の窓口として展示や講演会等を通じ、人々の多様な学習ニーズにこたえることができる施設でもある」(学術審議会報告)ことがおわかりいただけると思います。
まだまだ大学博物館として至らぬ点は多々あるのですが、地域社会と大阪大学との社学連携の窓口として更なる発展を目指したいと考えております。永契会会員諸兄姉のご指導ご鞭撻を切にお願い申し上げます。

総合学術博物館のホームページはこちら→http://www.museum.osaka-u.ac.jp/jp/index.html

| post by 事務局 |

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